令和3年度 港湾労働衛生強調月間 実施要領
港湾貨物運送事業労働災害防止協会
1 趣 旨
当協会では,全国労働衛生週間(10月1日から7日まで)に呼応して、昭和51年度から「港湾労働衛生強調月間」を設け、積極的な取組を展開しています。
港湾運送業における健康診断の有所見率は、全産業平均を上回っており、健康管理の重要性の周知、健康診断の的確な実施及び事後措置の一層の徹底が求められます。
一方、働き方改革に伴い労働基準法、労働安全衛生法等が改正され、長時間労働の是正と健康確保措置の充実、産業医・産業保健機能の強化が図られたことから、過重な長時間労働やメンタルヘルス不調により命や健康が損なわれることがないよう長時間労働対策やメンタルヘルス対策を推進することが求められています。
また、会員事業場を対象とした調査の結果、これまで熱中症にかかった労働者がいると回答した事業場の割合は35%を超えており、港湾現場では、暑熱な環境下での作業における熱中症の防止に引き続き取り組む必要があります。
さらに、会員事業場において新型コロナウイルス感染症した労働者は令和2年30名、このうち業務上と認定された者が2名おり、職場における感染症の拡大を防止するため、各事業場の実態に即した感染予防対策を徹底し継続することが求められています。
令和3年度は、第13次労働災害防止計画(平成30年度からの5か年計画)の4年度目として、本強調月間において、次の事項を重点において、職場における労働衛生意識の高揚を図り、自主的な労働衛生管理活動の一層の促進を図ることとします。
① 健康診断の的確な実施及び事後措置の一層の徹底 ② 過重労働による健康障害防止のための総合対策の推進 ③ 労働者の心の健康の保持増進のための指針等に基づくメンタルヘルス対策の推進 ④ 熱中症予防対策の徹底 ⑤ 新型コロナウイルス感染症の拡大防止 |
なお、本年度においても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、「3つの密」(①密閉空間(換気の悪い密閉空間である)、②密集空間(多くの人が密集している)③密接空間(お互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる))を避けることを徹底しつつ、本強調月間を実施することとします。
2 全体(主)スローガン
「向き合おう! こころとからだの 健康管理」
3 新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けた副スローガン
「うつらぬうつさぬルールとともに みんなで守る健康職場」
4 期 間
本期間 10月1日から10月31日まで
準備期間 9月1日から9月30日まで
5 主唱者
港湾貨物運送事業労働災害防止協会
6 後 援
厚生労働省
国土交通省
7 協 賛
一般社団法人日本港運協会
一般社団法人日本倉庫協会
8 賛 助
賛助会員港湾管理者
一般社団法日本船主協会
外国船舶協会
9 実施事項
⑴ 協会本部
① 「全国労働衛生週間」の行事に協賛する。
② メンタルヘルス対策等健康確保対策に関する安全衛生セミナーを開催する。
③ 強調月間実施要領を配布し、その趣旨の徹底を図る。
④ 強調月間の実施を推進するため、関係機関及び諸団体に協力を要請する。
⑤ 強調月間ポスター、のぼり等を頒布する。
⑵ 総支部及び支部
① 強調月間実施要領を会員事業場に周知する。
② 強調月間の効果的な実施のため、労働衛生部会等を開催し、労働衛生に関する問題 とその対策について検討する。
③ 会員事業場の実施事項について、指導・援助を行う。
⑶ 会員事業場
① 強調月間及び準備期間中の実施事項を全従業員に周知し、経営トップが自己の責務について認識し、以下の事項について、管理体制を確立し、自主的な労働衛生管理活動を推進する。
ア 労働衛生に関する年間計画の推進状況の把握と確認
イ 労働衛生に係る管理者、作業主任者の選任等労働衛生管理体制の確立及び職務の励行、衛生委員会の活性化
ウ 労働衛生関係情報の収集、衛生管理に関する社内規程の点検とその整備・充実
エ 労働衛生旗の掲示、労働衛生に関する功績者等の表彰、講習会・見学会等の開催、労働衛生のポスター、作文、写真、標語等の掲示、その他労働衛生の意識高揚のための行事等の実施
オ 有害物の漏えい事故、酸素欠乏症等による事故等緊急時の災害の対応の確認及び実地訓練等の実施
カ 労働衛生におけるリスクの評価・低減対策の実施及びこれを基礎とする労働安全衛生マネジメントシステム導入の推進
② 経営トップ又は総括安全衛生管理者による「職場巡視」を実施する。
③ 「職場の健康診断実施強化月間」(9月1日~9月30日)を契機として、以下の事項を実施する。
ア 健康診断の適切な実施、異常所見者の業務内容に関する医師への適切な情報提供、医師からの意見聴取及び事後措置の徹底
イ 一般健康診断結果に基づく必要な労働者に対する医師又は保健師による保健指導の実施
ウ 高齢者の医療の確保に関する法律に基づく医療保険者が行う特定健診・保健指導との連携
エ 小規模事業場における産業保健総合支援センターの地域窓口の活用
④ 「過重労働による健康障害を防止するための総合対策」(改正令和2年4月1日付け基発0401第11号・雇均発0401第4号)を推進する。
ア 恒常的な長時間労働の計画的な削減
イ 深夜業を含む業務に従事する労働者に対する健康診断の確実な実施
ウ 長時間労働を行った労働者に対する面接指導・健康相談等の実施
⑤ 「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(改正平成27年11月30日公示第6号)等に基づくメンタルヘルス対策を推進する。
ア 心理的負荷に関する気づきを促進するためのストレスチェックの実施、受診の勧奨
イ 高ストレス者に対する相談体制の整備
ウ 職場環境等の評価と改善
⑥ 「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」に基づく熱中症予防対策を推進する。
ア WBGT値の実施値の実測と、測定値に基づく熱中症リスクの評価、作業時間の短縮や、暑熱順化不足者の把握を含めた作業前ミーティングでの注意喚起など、評価を踏まえた適切な熱中症予防対策の実施
イ 自覚症状の有無にかかわらない水分・塩分の摂取
ウ 救急措置の事前の確認と実施
エ 健康診断結果を踏まえた日常の健康管理や健康状態の確認
⑦ 新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた取組を推進する。
ア 職場における感染防止対策の基本である「取組の5つのポイント」に基づく、事業場内の感染防止対策実施状況の確認と徹底
イ 「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」を活用した 、職場の実態に即した実行可能な感染拡大防止対策の検討及び対策の実施
⑧ 長期間閉じられていた船倉の内部、くず鉄・石炭等の酸化しやすい物質が積載されている場所、穀物・飼料等が保管されている場所などの酸素欠乏の恐れのある場所に立ち入る場合は、酸素欠乏危険作業主任者の選任、酸素濃度の測定、立入禁止の表示、換気の実施等の予防対策を励行するとともに、二次災害を防止するため酸素マスク・送気マスクの備付けを図る。
⑨ 「船倉内において鉱物等をかき落す作業」や「セメントや粉状の鉱石を袋詰めし、積み込み、又は積み下ろす場所における作業」等の粉じん作業について、第9次粉じん障害防止総合対策に則り、休憩設備の設置、呼吸用保護具の適切な使用、じん肺健康診断の実施、じん肺の予防・健康管理のための教育の実施を励行する。
⑩ 化学物質その他の原因による健康障害及び危険物の取扱による災害を防止するためコンテナ等の荷主等から、「危険有害業務事前連絡表」の交付の徹底など、その一層の活用促進を図る。
危険有害業務事前連絡票や化学物質安全データシート(SDSカード)の情報などにより有害性の恐れがある物質を取扱うに際しては、作業主任者の選任、必要なばく露防止措置の実施、健康診断の実施等必要な措置を励行する。
石綿、一酸化炭素中毒等による健康障害を防止するため、必要な措置を講じる。
⑪ 「腰痛予防対策指針」(平成25年6月18日付け基発0618第1号)に基づき、荷の持上げや不自然な作業姿勢などによる腰痛を予防するため、床面や照明など作業環境の改善、他の作業との組合せなど作業管理の改善、腰痛予防体操の実施などに取り組む。
⑫ 高年齢労働者に対する健康づくりを推進するため、「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(令和2年3月16日付け基安発0316第1号)に基づく措置を実施する。