石綿(アスベスト)
Q. 石綿が原因で発症する疾病は何がありますか?
A. 石綿(アスベスト)の繊維は、肺繊維症(じん肺)、悪性中皮腫の原因になるといわれ、肺がんを起こす可能性があることが知られています(WHO報告)。石綿による健康被害は、石綿を扱ってから長い年月を経て出てきます。例えば、中皮腫は平均35年前後という長い潜伏期間の後発病することが多いといわれています。仕事を通して石綿を扱っている方、あるいは扱っていた方は、定期的に健康診断を受けられることをお勧めします。現に仕事で扱っている方(労働者)の健康診断は、事業主にその実施義務があります(労働安全衛生法第66条)。
石綿を吸うことにより発症する疾病としては、主に次のものがあります。
(1) 石綿(アスベスト)肺石綿肺は、肺が繊維化してしまう肺繊維症(じん肺)という病気の一つです。 肺の繊維化を起こすものとしては石綿のほか、粉じん、薬品等多くの原因があげられますが、石綿のばく露によっておきた肺繊維症を特に石綿肺と呼んで区別しています。石綿粉じんを10年以上吸入した者に起こるといわれており、潜伏期間は15~20年といわれています。石綿ばく露をやめたあとでも進行することもあります。
(2) 肺がん 石綿が肺がんを起こすメカニズムはまだ十分には解明されていませんが、肺細胞に取り込まれた石綿繊維の主に物理的刺激により肺がんが発生するとされています。また、喫煙と深い関係にあることも知られています。石綿ばく露から肺がん発症までに15~40年の潜伏期間があり、ばく露量が多いほど肺がんの発生が多いことが知られています。 治療法には外科治療、抗がん剤治療、放射線治療等があります。
(3) 悪性中皮腫 肺を取り囲む胸膜、肝臓や胃等の臓器を囲む腹膜、心臓及び大血管部を覆う心膜等にできる悪性の腫瘍であり、我が国でも石綿ばく露による中皮腫は、欧米と同様に報告数が増加しています。 若い時期に石綿を吸い込んだ方が悪性中皮腫になりやすいことが知られ、潜伏期間は20~50年といわれています。 治療法には外科治療、抗がん剤治療、放射線治療等があります。